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チャーンレートとは?BtoB SaaSの目安と解約を防ぐ4つの改善施策

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SonogoSonogo編集部
チャーンレートとは?BtoB SaaSの目安と解約を防ぐ4つの改善施策

SaaS事業で利益を残す最大の鍵は、新規獲得よりも既存顧客の解約を防ぐことです。月次解約率が3%の場合、年間で30%以上の顧客を失う計算になります。本記事では、チャーンレートとは何かという基礎知識から、BtoB企業が追うべき目安、そして解約率を劇的に改善する4つの具体的な施策を解説します。

チャーンレートとは?定義と重要性

チャーンレートとは?定義と重要性

チャーンレートとは、一定期間内にサービスを解約した顧客の割合を示す指標です。SaaSビジネスにおいて、解約率の改善は事業の存続と成長を左右する最重要課題となります。

既存顧客の維持にかかるコストは、新規顧客を獲得するコストの5倍以上かかります。つまり、解約を防ぐことは 顧客獲得コスト(CAC) の大幅な削減に直結します(出典: Zendesk)。毎月必死に新規顧客を獲得しても、解約が多ければ事業は成長しません。実際に、月次解約率が3%の場合、年間換算では30%以上の顧客を失う計算になり、まさに 穴の空いたバケツ の状態と言えます。

さらに、この指標は投資家が企業の健全性を評価する基準でもあります。ゴールドマン・サックスのレポートによれば、解約率が2%減少するだけで、企業評価額が最大20%向上する可能性があると報告されています。

2つの種類(カスタマーとレベニュー)

チャーンレートの状況を正確に把握するためには、以下の2つの指標を使い分けることが重要です。

指標名概要活用目的
カスタマーチャーン顧客数ベースの解約率サービス自体の満足度や定着率を測る
レベニューチャーン収益(金額)ベースの解約率ダウングレードを含めた事業への財務的影響を測る

これらの指標を定期的に監視し、解約の兆候を早期に察知することが、効果的なチャーン対策の第一歩です。

BtoB SaaSにおけるチャーンレートの目安

BtoB SaaSにおけるチャーンレートの目安

自社が健全な状態にあるか判断するためには、チャーンレートの目安を正しく把握することが重要です。国内BtoB SaaSにおける月次解約率の平均は2.84%です。

また、ターゲット層によっても異なり、中小企業向けでは3%〜7%、大企業向けでは0.5%〜1%が一般的な基準となります。大企業向けは導入ハードルが高い分、一度導入されると解約されにくい傾向があります。一方、中小企業向けは導入が容易な反面、解約もされやすいため、より手厚いフォローが求められます。

改善策1:ヘルススコアによるリスク特定

ヘルススコアによるリスク特定

チャーンレート改善に向けた具体的な施策として、顧客の利用状況や満足度を数値化する ヘルススコア の導入が有効です。

ログイン頻度、特定機能の活用度、サポートへの問い合わせ回数などの要素を組み合わせてスコアを算出します。これにより、チャーンリスクの高い顧客を早期に特定し、解約に至る前に重点的なフォローを行うことが可能になります。

【ヘルススコア活用の具体例】

  • 危険シグナルの設定: スコアが100点満点中40点を下回った場合を「解約リスク大」と定義します。
  • アクションの自動化: 40点を下回った顧客に対して、システムから自動で「使い方にお困りではありませんか?」という活用支援メールを送信します。
  • 個別フォローの徹底: 自動メール送信から3日経過してもログインがない場合、カスタマーサクセス担当者が直接電話でヒアリングを行うフローを構築します。

このように、スコアに応じた具体的なアクションプランをあらかじめ設計しておくことが、解約の未然防止に繋がります。

改善策2:オンボーディングの仕組み化

オンボーディングの仕組み化

SaaSにおける初期解約の大半は、顧客が製品の価値を理解しきれていない導入初期の段階で発生します。そのため、顧客が自走できるようになるまでの「オンボーディング施策」を仕組み化することが最重要課題です。

【オンボーディングの具体的なマイルストーン例】

  • 契約後1日目: ウェルカムメールとともに、初期設定のチュートリアル動画を案内する。
  • 契約後1週間以内: 「初期設定の完了」を最初の目標とし、未完了の顧客にはリマインドや個別のオンラインサポートを提供する。
  • 契約後1ヶ月以内: 「主要機能の3回以上の利用」など、具体的な成功体験(サクセス)を定義し、その達成に向けた活用セミナーやFAQを案内する。

また、チャーンレートを適正に保つには、導入前の段階で顧客の期待値を正しく設定し、「できること・できないこと」を明確に伝えておくことも不可欠です。営業段階での適切なコミュニケーションが、後の解約防止に直結します。

改善策3:AIを活用した自動化

AIを活用した自動化

解約率の改善は人の頑張りではなく、仕組みで解決すべきです。属人的な対応には限界があり、担当者の退職や異動でサポート品質が低下するリスクを伴います。近年では、AIを活用したアプローチで業務を自動化するSaaS企業が増えています。

【AIを活用した自動化の実践例】

  • 利用率低下の自動検知とフォロー: 特定機能の利用回数が直近2週間で50%以上減少したユーザーに対し、その機能の有効な活用事例を紹介するメールをAIが自動で生成・送信します。
  • チャーン予測モデルの構築: 過去に解約した顧客の行動データ(ログイン頻度や問い合わせ内容など)をAIに学習させ、現在の顧客の中から「1ヶ月以内に解約する確率が80%以上のユーザー」をリストアップします。
  • 担当者へのアラート通知: リスクが高いと判定された顧客が出た瞬間に、Slackなどのチャットツールで担当者へ自動通知し、迅速な対応を促します。

これにより、カスタマーサクセスの人件費を増やさずに対応範囲を拡大できます。解約の予兆を逃さないための仕組みづくりについては、【2026年版】AI搭載の顧客管理システムおすすめ4選を徹底比較|選び方と定着のコツ も併せて参考にしてください。

改善策4:「休止」プランの提供

解約を申し出た顧客に対して、無理に引き止めるのではなく「休止」という選択肢を提供することも有効な判断ポイントです。

【休止プランの具体的な導入例】

  • データ維持費のみの少額プラン: 繁忙期と閑散期がはっきりしている業種の顧客に対し、閑散期に月額料金の10%程度の「データ維持費」のみでアカウントを休眠状態にできるプランを用意します。
  • プロジェクト単位での一時停止: 期間限定のプロジェクトで利用していた顧客が、プロジェクト終了後に「一旦利用を止めたい」と申し出た際、設定データや過去の履歴を残したまま一定期間課金を停止する選択肢を提示します。

アカウント情報を保持したまま一時的に利用を停止できる仕組みを用意することで、完全に他社へ乗り換えられるリスクを防ぐことができます。実際に休止プランを導入したことで、将来的な復帰率が25%以上になるケースも確認されています。顧客に寄り添う柔軟な選択肢の提供が、長期的な関係維持に繋がります。

まとめ

SaaSビジネスにおいて、チャーンレートの改善は事業の持続的成長に不可欠です。本記事では、チャーンレートの重要性と、具体的な改善策を以下のポイントで解説しました。

  • チャーンレートは新規顧客獲得コスト削減とLTV向上に直結する最重要指標
  • 顧客の期待値設定、ヘルススコア活用によるリスク早期特定が重要
  • オンボーディングの充実で初期離脱を防ぐ
  • カスタマーサクセス業務の仕組み化・自動化で属人性を排除
  • 解約率の改善は企業評価額向上にも繋がる

これらのステップを実践することで、単なる解約防止にとどまらず、顧客との長期的な関係を構築し、持続的な事業成長を実現できます。データに基づいた戦略的なアプローチで、健全なSaaSビジネスを築き上げましょう。

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